先日、念願だった室生寺に訪れることができました。
以前にメールマガジンでも紹介しましたが、
土門拳さんの文章を引用させて頂きます。
「デモ取材と古寺巡礼」より
しかし今の日本は問題が多すぎる。医者ならば、急患が多すぎるというところである。
ベトナムはいうに及ばず、沖縄、核禁、公害、物価と問題は内外に山積している。
1970年もすぐそこへきている。
即決即効の対症療法が必要で、気の長い持久療法などでは手遅れになってしまう。
患者が死んでしまった後では、投薬のしようもないようなものだ。
報道写真家としてのぼくも、今日ただ今のアクチュアリティのる問題と取り組んで、
現場の目撃者として火柱の立つような告発なり、発言なりを行いたい。
いわば民族の戦いにカメラを持って参加したいのだ。
それにしても、その民族のド根性が問題である。
どういうふうに考え、どういうふうに行動するにせよ、
日本人が日本人でなくなったら、無意味である。
何よりも日本人が日本人を忘れたら、すべてはむなしい。
「古寺巡礼」で苦しい旅を続けている時、
自分はなんでこんな苦労をするのか考えさせられる。
結局、一日本人としての自分自身が日本を発見するため、
日本を知るため、そして発見し、知ったものをみんなに
報告するためだということに思い至る。
それにしてはまずい写真をとるじゃないかといわれれば、一言もないが、
志がそこにあることは間違いない。
もちろん、この足がままになれば、そんなことをいっているひまもないだろう。
今はままにならぬ足をなでながら、二律相反の思いに悩んでいるとでもいおうか。
…
私は、土門拳さんの文章が大好きで、いつも読んでうっとりしています。
何より、かっこいい。
私も「日本人の魂」で、「日本の美」を見つめていきたいのです。
<2007年5月26日撮影 室生寺 金堂>